- 事務所名:
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株式会社だいきち
- 代表者:
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川越道貴
- 事務所エリア:
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宮崎県
目次
Q.現在の事業内容を教えてください
「現在は宮崎県全域に広がる自動販売機のオペレーター業務を主な事業として、自動販売機を通した飲料水などの販売を行っております。取り扱いメーカーとしてはアサヒ・コカコーラ・キリン・サントリーがありますが、2013年ごろから自社の自動販売機(100円ベンダー)を取り扱うようになりました。
そもそも大手飲料メーカーの自動販売機ですと、大体は固定されたメーカーの商品が並んでいるのですが、弊社のオリジナル自動販売機は自社所有の自動販売機なので1つのメーカーに限らない商品を取り扱っています。取り扱うメーカーや種類に制限がないので1年の間に相当数の商品が入れ替わります。当社のような自社の自動販売機だと、賞味期限が2〜3週間を切ったものを宣伝もかねて50円で販売したりもしていますので、あそこの自動販売機でまとめ買いしようかという風になる、こうした戦略も可能です。
100円の自動販売機は各地に割と浸透してきましたが、弊社では先にお伝えしたように50円のものを出したりもしていますので、正直これは赤字になってしまいます。それでも、お客さんからここの自動販売機は何だか面白いなと思ってもらえるような仕掛けを工夫してやっているという感じです。
また、”だいきち”というブランドの自動販売機を作ろうと営業活動も行っており、メーカーの自動販売機と何が違うのかといえば、例えば焼き芋を売ってみたり、地域の名物を自動販売機で売ってみたり、大きな会社にできないことにチャレンジしています。
商品構成については私がアイディアを出し、買い付けも行っています。売れ筋って大体は決まっているんですよ。自動販売機には30アイテムくらいしか入りませんので、色々なメーカーの色々なものを、味や趣向がカブらないように選んでセットするという感じですね。」
Q.創業のきっかけは、どのようなものだったのですか?
「もともと弊社は、先代が小さな商店へお菓子屋の卸小売りを行っていたのが始まりです。珍味を仕入れて袋に小分けし、それを酒屋さんへ卸すような商売をやっていました。小粒のあられを仕入れ、袋詰にしたものを小さい商店へ卸したりもしていましたね。先代は他にも色々なことをやっていて、弁当屋や居酒屋を経営したり、ブランド品を売っていたこともありましたが、手を広げ過ぎて逆に大変でした。
現在の自動販売機事業への流れとしては、私が小学校低学年の頃ですから35年ほど前でしょうか、宝酒造株式会社のノンアルコールビールを自動販売機で販売したことが、きっかけと言えるでしょうね。今ではすっかりノンアルコールビールが定着していますが、日本初のビールテイスト飲料は、宝酒造がイギリスの酒類メーカーと提携して開発した『TaKaRaバービカン』なんですよ。しかし、これがなかなか売れず大失敗したようでした(笑)。
その後、まずミルクセーキで有名な、広島県の株式会社プリオ・プレンデックスの自動販売機を扱いはじめ、次いでカルピスと契約をして、本格的に自動販売機の事業をはじめました。これが最初の自動販売機を入れてから3〜4年のことで、創業としては昭和58年7月になります。」
Q.同業他社との差別化はどのように考えていますか?
「ジュースの自動販売機は、確か全国に200万台くらいあるのですが、大抵の場合は飲み物しか売っていない訳ですよ。自動販売機って身近なものですから、もっと日常で使うものがあれば活用の幅が広がるんじゃないかなと思ったのが、鶏の炭火焼や焼き芋を売りはじめたきっかけです。2018年頃からでしょうか、自動販売機の可能性をもっと広げたかったんですよね。
当社もそうでしたが、メーカーなど、当たり前の自動販売機業をやっている会社は、ずっとその仕事に従事していることで俯瞰できなくて、基本からはみ出ることがないのだと思います。私自身もJCで色々なことを見聞きする以前は、その基本形が絶対だし当たり前と思っていましたが、仕事から離れることによって”ああ、こういう可能性があるよね”ということに色々と気づけました。
結果、弊社では大手のメーカーや同業他社がやらないことをスキマ的にやっている、といった感じです。先にお話した価格や製品構成もそうですが、のぼり旗を作ったりもしています。そんなことで、と思われるかもしれませんが、普通は自動販売機にのぼり旗なんて立てませんから、アピール効果が高いんですよ。
また、SDGs自動販売機という取り組みもやっています。弊社には今、2,000台ほどの自動販売機があるのですが、やはり納品の際に缶を落としてしまうことなどがある訳です。飲み口が傷んだりしてしまうと売れませんから、これまでそうした物は全て担当者が回収して、あまりにも管理が酷い場合は自己責任で買い取ってもらったり、会社の冷蔵庫に保管して従業員が100円で買えるようにしていました。
しかも、自動販売機を運営していく上では、商品の賞味期限切れが避けられません。賞味期限は1分1秒でも過ぎた商品は売ることができませんので、結局は廃棄が出て処分代がかかってしまいます。ただし、あくまで”賞味”期限であって”消費”期限ではないので、これではもったいないよねということで、賞味期限の切れた商品で劣化していないもののみを自動販売機に入れて10円で売ることにしました。
加えて、社員がルート中に落として凹んだ缶などについても、少しでも赤字を回収できるように50円で売ろうという形ではじめたのがSDGs自動販売機です。作る責任と使う責任、それに貧困をなくそうということに絡めた取り組みですね。
こうした色々な取り組みや差別化がネットやテレビのニュースに取り上げてもらえるきっかけにもなっており、弊社は月に20件ほど”ウチの敷地に自販機を置いてほしい”というお問い合わせをいただいています。その中から選別し、実際に設置するのは売れそうな場所の1割ほどなのですが、こうした反応をいただけるということは、他社との差別化がしっかりできているのかなと思います。」
Q.過去、もっとも経営が厳しかったとき、どのようなことがありましたか?どう乗り越えましたか?
「危機は何度かありますね。その中の1つ目は、詳細は控えますが様々な理由から私が24歳の時に会社の代表を引き継ぐことになった状況そのものが危機だったと言えます。中でも最も大変だったのは、2012年に迎えた2度目の危機で、これも詳しくはお伝えできませんが、いわゆるお金の苦労ですね。
当時34歳でしたが、それ以前も色々と大変な思いをして、またゼロスタートというのも嫌だったので、過去からの流れを反省して3年後・5年後・10年後にどうなっているのかなど、このタイミングで自分なりにしっかりとプランを見直しました。100円の自動販売機に着手したのもこの頃で、ある意味でこの危機は会社が変わっていくターニングポイントになったと思います。
それまではずっとメーカーの自動販売機だけを取り扱っていて、当時の売上は3億円くらいでしたかね。100円で売ることを決めて、中古の自動販売機を4台100万円くらいで仕入れたことを皮切りに、全て現金買いで1年ほどかけて50台くらいにまで増やしました。100円自動販売機は、粗利率が全く違うんですよ。差し支えがありそうなので具体的な利益額は明かしませんが(笑)、メーカーの場合と100円自動販売機では、10%ほど利益率や商品の回転率に差があります。
ただ、メーカーの自動販売機の場合は本体の費用はもちろん、設置費用やメンテンナンス費用もメーカーが負担してくれる一方で、自前で買った自動販売機はメンテナンス費用も自分で負担しなければなりません。それでも100円自動販売機のほうが圧倒的に粗利率が良いことに加え、メーカーよりも単価が安いので単純に数が売れます。大体メーカーの1.5倍から、大きな所ですと5倍くらいの売上になりますので、回転数を上げて薄利多売で利益を取るのが100円自動販売機の特徴であり、同業他社との差別化ポイントでもありますね。
この戦略で会社も軌道に乗ってきたと思いきや、4年ほど前は少し赤字でしたから、3度目の危機ではあったと思います。昨年は前年の売上を超えた上で結構な黒字でしたから、今はもう大丈夫なのですが、そういう意味では今年やっとスタートに立ったという感じなのかもしれません。」
Q.採用、教育など組織論のポリシーはありますか?
「人は絶対に成長すると信じていることですかね。どんな人でも訓練さえ積めば、絶対に成長するんですよ。社員へも言っているのですが、子どもの頃は出来ないことが一杯あるけど、大人になっていくにつれて、どんどん出来るようになっていく訳じゃないですか。ただ、自分1人で出来ることもあれば、課題を課して身幅を広げることを教えてあげないと出来ないこともありますよね。
ですから、弊社に勤めてくれた人たちへは、うちの会社で何か1つでも2つでも良いから、自分の身になることをちゃんと学んで、もし辞めて次の会社に行った時でも、自分がちょっと高いステージで仕事ができるように、色々と勉強していってね、という話をしています。
言ってしまえば自動販売機の仕事は、担当の機械を回っていれば成立する訳です。基本的にはそれが仕事なので。しかし、それだけですと人ってあまり考えないんですよね。ですから、具体的にこういう風にしてくれという課題を作って、こちらから課していく。私は毎年必ず色々なことにチャレンジする会社であろうとしているので、2023年からは委員会制度を作りました。
売り切れをなくす担当の委員会や、社員の服装や髪型を清潔に保つ風紀委員会、車両の管理委員会など、仕事の一環ではありますが、ちゃんと役割を決めてちょっと意識させることで、それぞれ少しでも自分の考え方が変わるんじゃないのかなと思っているんです。例えば弊社では設置準備をみんなで一緒にやっているのですが、最初は1日がかりでやっと10台だったところ、今は倍の20台でも午前中にはある程度終わるようになっていて、それも全部成長なんですよね。
委員会は1年制ですから、自分が担当したことのある内容を初めて経験する人へ教えるというアクションにも繋がりますし、少しずつ勉強できて、少しずつ成長できる、新しい取り組みなんです。今まで出来なかったことが、みんな要領を掴んで成長しているよね、という話をすると会社も変わっていくんですよ。
私は会社が良くなるように、みんなの生活が良くなるように、課題を見つけて、課題を作りながら組織を作っているという感じです。一方で、採用に関しては担当者へ任せているので、余程のことがない限りは、あまり口を出さないようにしています。が、ちょいちょい口を挟んでいるような気がします(笑)。」
Q.影響を受けた人は誰ですか?
「良くも悪くも父ですね。父からは、小さな頃から”なんでも勉強だ”と、遊ぶのも仕事だと言われてきましたので、発想するということについては凄く影響を受けているでしょうね。お陰で自由奔放に過ごせたのかな、とも思います。父も365日仕事をしているような人間で、仕事が好きというか、仕事しかしていない、40代半ばまでもうずっと仕事人間でしたから、厳しくもあったんです。
結構あたりがきつかったので、私も父には何も言わせないぞと、30歳くらいまでは年間で4日ほどしか休みを取らないような生活をしていましたね。また、父は成功もしたけど失敗や自分が騙されてきたので、私には”騙されるな”とよく言います。そういう意味では反面教師でもありますね(笑)。
あとはJCの先輩方でしょうか。20年近くJCに在籍していたので、考え方や仕事の進め方など、かなり影響を受けています。先輩方のようになりたいと思う一方で、超えていきたいとも思っていますね。」
Q.これから生き残っていける企業の条件はどのようなものだと考えますか?
「情報化社会になって、時代が変わっていくのが早いじゃないですか。昨日まで”これが正しいよ”と言われていたものが、明日は間違いだよという話になったりもするスピード感ですからね。かつての社長は一本気であることが良しとされていたところがあるように思いますが、これからは柔軟に判断して対処していかないといけない時代になってくると思います。
あとは勉強も凄く大事でしょうね、時代の流れを読めるような勉強をしっかりしていなければいけないと思います。しかし、基本的なこととしては、人から必要とされる仕事をしていくということではないでしょうか。近江商人の”三方よし”ですよね、昔は自分の会社だけが生き残るという考え方の人も多くいましたが、一時は良くても、長い目で見たときに結局それは続かないと思うんですよ。
ずっと続けていくためには、まずは相手が良くなることを考えないといけませんし、仕事に従事してくれる社員が良くなるからこそ、会社も良くなるし、社会は回っていく訳です。やはり、みんなが良くなるような仕組み作りは、していかなければいけないと思いますね。今が良ければそれで良いと満足するような会社は、なかなか厳しくなっていくのではないでしょうか。
また、向上心と言いますか、常に挑戦する心を持って、考えて動いていく必要があると思います。」
Q.今後の展望についてお聞かせください
「具体的には伏せますが、2025年までに売上〇〇億円という数字目標を掲げています。去年の目標は達成していて、2023年も掲げている目標には到達する見込みですから、あと2年ほどでしっかりと上乗せし目標を達成し、社員に対する福利厚生目標も達成したいなと考えているところです。基本的には自動販売機の台数を増やしていく戦略で、2025年目標を達成すべく県内への設置を中心に展開していき、将来的には県外を視野に50億円、100億円と目指していきたいですね。
ただ、自社だけで拡大していくのは限りがありますから、100円の自動販売機をやりたいという人をサポートできるような仕事もやっていきたいですね。現に長崎県の企業さんとは運営方法をお教えするというお取引をさせていただいていますし、そうしたお問い合わせも時々いただいています。東京など大きな都市には割と競合がいるのですが、九州はもとより、都市部以外では意外と100円自動販売機の取り扱いが少ないんですよ。
弊社は地方ほど100円自動販売機は強く、チャンスだと思っていますので、今後はサポーターとしても展開をしていき、仲間を増やしたいなと思っているところです。
しかし業界としては色々な課題がありまして、1つは来年4月からはじまる物流の問題ですね。運送業界で従事している方々の働き方改革によって、関連事業者にとっては経費が増えることになる訳です。そうすると、やはりその分をどこが負担するのかといえば、価格転嫁もされるのでしょうが、一部は弊社のような仕入れる側の負担にもなると思いますので、その課題をどう解決していくのかを直近で考える必要があります。
また、7月から新紙幣へ順次切り替わっていきますよね。やはり自動販売機はお札を使いますから、新しいデザインの紙幣に対応する費用も捻出しなければいけません。
ただ、こうした中でも引き続き、働いてくれる人たちが本当に良くなるような会社にしていかなければいけないと考えていますし、地域の人たちに喜ばれるような、面白いと思ってもらえるような自動販売機作りで、地域に寄り添った運営をしっかりやってきたいという展望も持っています。一方で、他県への足がかりも少しずつ作っていかなければならないなと考えている、こうしたところでしょうかね。」
川越道貴
職業: 株式会社だいきち 代表取締役
興味: 旅行、釣り、料理、温泉
専門知識: 自動販売機運営についてのノウハウ
経営理念 我が社は、日々の挑戦を通して新たな道を切り拓き、国や地域社会の発展に寄与し人々に幸せをもたらすために存在する。
行動指針
・我が社に関わる人々へ利益をもたらす企業
となる。
・人の成長、企業が発展するため、日々挑戦。
・社員一同が働く喜びを感じ、仕事を通して学び成長し、地域に誇れる企業となる。
・失敗から学び成功を遂げる企業となる。
・変化を恐れず柔軟な発想で挑戦、新たな道を切り拓く企業となる。
当社の強み: 大手飲料メーカーではできない独自の発想を活かし、お客様にワクワクしていただけるような自動販売機の運営を行っている。
新規オペレーターに対しての起業支援など。

