創業104年の老舗うなぎ割烹が歩む次世代への挑戦:うなぎ割烹桜家 澤田 恵輔氏

創業104年の老舗うなぎ割烹が歩む次世代への挑戦:うなぎ割烹桜家 澤田 恵輔氏

店名:

うなぎ割烹桜家

代表者:

澤田 恵輔

エリア:

長野県

Q.現在の事業内容を教えてください

創業104年のうなぎ割烹料理店を経営している他、『うなぎ笹むし』というオリジナル商品を製造から通信販売まで行っております。ずっと長野県の松本市で商っていますので、戦時には秘伝のタレを守るためのタレシェルターがあったと祖母から聞いておりますし、色々な歴史を乗り越えてきた割烹料理店です。

やはり飲食店ですからコロナ禍の影響がありましたが、その際に笹むしの通信販売を中心に弊社の味をお届けしました。今はだいぶ落ち着いてきており、地元のお客様はもちろん、観光客やインバウトのお客様が多くお越しになられるようになりました。」

Q.創業のきっかけは、どのようなものだったのですか?

「私で4代目になるのですが、富山県出身の曽祖父が松本市へ和食の修行に来て、働いていた店の暖簾分けという形で独立したと聞いております。曽祖父がどのような想いだったのかは解りかねるのですが、経緯としてはそのような感じです。」

Q.同業他社との差別化はどのように考えていますか?

どのような料理スタイルでも受けていることですね。うな丼やうなぎの一品料理といった単純なうなぎ料理だけでなく、天ぷらや和定食もやっているというのが大きな特徴だと思います。また、割烹料理においても、会食や接待、忘年会などの宴会の他、冠婚葬祭、お祝いのお顔合わせ、お宮参りや七五三、法事の会食など、色々な目的で弊社の料理と場所と楽しんでいただいている、と自負しております。

また、『笹むし』に関しては本当に弊社にしかお出しできないオリジナル商品ですし、一つ一つ手作りで作っていて、国産で全て無添加の安全な食品であるということも差別化になっていると思います。父は若い頃に東京の料亭で修行をしていたのですが、そこでは笹を巻いた料理を作っていて、こちらへ帰ってからうなぎと組み合わせて何か出来ないかと開発をはじめたそうです。10年近くの試行錯誤で生まれたこの唯一の商品を製造販売しているのは大きな特徴ですね。うなぎともち米、笹はとても相性が良いんですよ。

他には、黒川さんに居心地の良い空間だと言っていただけたように、お座敷に椅子のご用意があるのも珍しいかもしれません。一般的な老舗割烹のイメージは、昔ながらのスタイルを引き継いでいるという感じでしょうし、実際にうなぎの焼き方やタレなどはほとんど変わっていないと思うのですが、細かいところは結構変わったりもしています。今は”古き良き”という形になっていますので、今後は新しいものも取り入れていきたいですね。」

Q.過去、もっとも経営が厳しかったとき、どのようなことがありましたか?どう乗り越えましたか?

「一番厳しかったのはコロナ禍でした。まずキャンセルが出て、予約も全くなくなって、とにかくお客さんが来ない。街にも全く人がいないという状態が続いていましたね。

それを乗り越えるために凄く努力して、通販に力を入れました。全体的な売上は落ちてしまいましたが、オンラインでうなぎを食べる会を実施したりと色々な形で販売したところ、通販の売上は伸びてなんとか乗り越えることができた形です。

東京であれば、むしろコロナの状況下でも開いていた居酒屋などに人が殺到したと聞いていますが、地方ではそういう訳にはいきませんでしたね。開けていてもお客さんが来ませんし、開けたら開けたで非難を受けるような状況でした。お客様が陽性判定を受けた地元のスナックは相当叩かれたと聞いています。

忘年会シーズンの状況で比較すると、今でも完全にコロナ前に戻ったという訳ではなく、やはり忘年会の実施自体が少なくなっていますし、人数も減ったように思います。一方で主に東南アジアからのインバウンドが復調してきてはいるので、そういう意味では戻ってきているとも言えるのかもしれませんね。」

Q.採用、教育など組織論のポリシーはありますか?

「必要な人を採るにあたっては、和の雰囲気や落ち着いた空間に合う人を採用するようにしています。調理部にも割と大人しい感じの方が多いのですが、募集をすると、なぜか不思議とそういう人が来てくれるんですよね。教育に関してはこれからなのですが、やはりお客様目線第一を以て料理をお届けするということを大事にしています。」

Q.影響を受けた人は誰ですか?

「私は昔KDDIに勤めていましたので、稲盛和夫さんは好きですね。フィロソフィや利他の精神など、色々と影響を受けましたが、特に人生の成功において考え方はプラスにもマイナスにも出来るという言は、サラリーマンとして働いていた頃よりも、今のほうが響きます。」

Q.これから生き残っていける企業の条件はどのようなものだと考えますか?

「常に時代を先取りできるかどうかではないでしょうか。先行者利益もそうですが、今の伝統を守りつつも時代に追いつき、先取っていけるかどうかだと思います。弊社でも新たな料理スタイルへの取り組みを続けていますし、海外展開など新しいことも頑張りながら長く続けていきたいですね。」

Q.今後の展望についてお聞かせください

「今は笹むしの海外展開を考えておりまして、桜家と笹むしの”S”とうなぎが重なったデザインのロゴを新たに作りました。もちろんインバウンドで当店へご来店くださる方もいらっしゃいますが、東京には殆ど外国人しかいないのではないかと思う程ですし、やはり海外での日本食人気が凄いんです。3,000円や4,000円もする価格帯のラーメンも人気があることを考えると、海外へ持っていくことで価値を上げられるとも思いますから、チャレンジしたいですね。今はファンドを探したり、ジェトロとも話を進めたりしているところです。

更に、オリジナル商品の笹むしについては国内の流通を増やしていきたいですし、確実にファンを増やすという意味で店舗の質を上げていきたいと考えています。地元のお客さんにも観光客にも多くご来店いただいていますので、どちらにも愛されるお店にしていきたいと思っているところです。また、今後は他の地域へ出店することもあるかもしれません。現在は物価高でうなぎも高くなっており苦しい面もありますが、売上自体は上がっていますので頑張っていくのみですね。」

うなぎ割烹桜家 4代目 澤田 恵輔
1985年8月26日(38歳) 長野県松本市生まれ

幼少期は家業を継ぐ予定はなく、
高校卒業まで松本市で育ち、大学では、新潟大学・大学院で情報工学(IT)を専攻。

2011年4月にKDDI株式会社に入社。
携帯電話の通信エンジニアとして、仙台に約4年、東京に約4年半勤務

約8年半のサラリーマン生活ののち、
・100年以上続くお店をずっと残したい
・信州まつもとが好きで、この街に住んで貢献したい
・笹むしのおいしさをもっと全国、そして世界に伝えたい
という想いから2019年10月に有限会社桜家に入社。

自事業とうなぎ業界と地域の発展を使命・天命として活動中。