元なでしこジャパン阪口夢穂のセカンドキャリア:融星運輸株式会社 阪口夢穂氏

元なでしこジャパン阪口夢穂のセカンドキャリア:融星運輸株式会社 阪口夢穂氏

2024年2月8日
事務所名:

融星運輸株式会社

代表者:

阪口 夢穂

本店所在地:

大阪府堺市

開業年:

2018年

Q.現在の事業内容を教えてください

「週末はサッカー教室などのイベントに呼んでいただくことが多く、平日は実家の事業に従事しています。実家がずっと運送事業をやっていて昨年から役員を務めていたのですが、2023年10月から謎に代表というお役目をいただきまして、ちょっと頑張ろうかなと思っているところです。

サッカー関連のお仕事に関しては依頼内容によりますけれども、主にトークショーやサッカー教室が多いです。

依頼元が行政であったり企業であったり、案件は様々です。たまに講演のお話もいただきますが、例えば1時間1人で喋ってくださいと言われるとちょっと難しいので、トーク形式やMCさんが進行してくださる形のほうが対応しやすいですね。

対象としては小学校低学年くらいの小さな女の子が多いかな。私自身も中高生にガチで教えるよりは、サッカーをやったことがない子たちと一緒にわちゃわちゃ楽しみながらやるというほうが、性に合っているように思います、精神年齢5歳くらいにはなれるので(笑)。

引退直後は少し時間を持て余すようなこともありましたが、今は二足の草鞋というのか、割と忙しく過ごさせていただいている感じです。セカンドキャリアで躓いてしまう選手も少なくはないので、本当にありがたいと思っています。」

Q.創業のきっかけは、どのようなものだったのですか?

「きっかけとしては単純に代表就任ということになりますかね。実家の運送会社はもともと兄が代表だったのですが、運転手も兼務していて大変そうだったんですよ。やはり各所への挨拶など代表が足を運ばなければいけない場面も多く、純粋にリソースが不足している状況でしたので、そこは役割分担ということで私がやるわという感じになりました。

なんと代表としての初仕事は謝罪で弊社の運転手がミスをしてしまって謝りに行くという(笑)。頭を下げるのも代表の仕事なんだなということが解りましたし、結果として大事には至りませんでしたので、今後にも活かせる良い経験をさせていただいたなと思います。運送業界はやはり人を介して動きますので、色々なことがあるでしょうからね。」

Q.御社の成功要因を分析すると、どうなりますか?

「先にお話したようなトークショーやサッカー教室に呼ばれる選手とそうでない選手というところですと、やはりワールドカップの優勝メンバーである点は大きいのではないでしょうか。一応なでしこジャパンの一員でしたので肩書が使えるのはプラスですし、かつ優勝メンバーということで呼んでいただけることもあります。ですから、あの時にあの場で戦えて良かった、本当に財産だなと凄く思っていて、私自身の魅力というよりはそのことに感謝しているという感じです。

ただ、距離の詰め方が上手いとは言っていただけますね、一気に距離をゼロにするというか、関西弁の親しみやすさもあるのかもしれませんが皆が皆そうではないので、ある意味で独特のスキルなのかもしれません。

Q.過去、もっとも状況が厳しかったとき、どのようなことがありましたか?どう乗り越えましたか?

「引退してからはずっと楽しく過ごしていて、表現が難しいのですが楽しくないことはしないし、退屈な時間がないという感じで常に何かをしています。何もしていない時間がもったいないように思えて、それで行政書士資格の取得にもチャレンジしました。結構色々なことにチャレンジするのが好きなんですよね。

サッカーをしていると、よく”好きなことを仕事にしていていいね”と言われます。もちろんそれはありがたいのですが、当然ながら良いことばかりではなくて、怪我を沢山しましたし、大変なことも一杯ありました。それでも、良いことしかもう思い出せないんですよ。振り返っても辛かったことはあまり出てこなくて、あのときも楽しかったなということが思い起こされる感じです。スポーツ選手は良い意味でぶっとんだ人が多いのかもしれませんね。ネチネチした人はいないし、語弊があるかもしれませんが、そうでなければ残っていけないのかな、とも思います。

実は行政書士試験についてもそれほど根を詰めて勉強した訳ではないんです。もちろんやるからにはちゃんとやりますし、それほど簡単ではないでしょうからあまり受かるとも思っていなくて、受かったら嬉しいくらいの感じで、15分から30分くらいスキマ時間を見つけてちょこちょこやっていました。怒られてしまいそうですが合格できたのはたまたまで、択一の当てずっぽうが当たったということもあるのかなと思っています(笑)

Q.影響を受けた人は誰ですか?

「多分いたほうが良いんでしょうけど、いないんですよね、ほんまにおらん。人と違うことをしたいと思って生きてきたので、逆にこの人がこれをやっているなら違うことをやろうみたいな、ちょっと歪んでいるのかもしれません。そういうマインドだと問題児扱いされそうですし、中学・高校もサッカーで体育祭や卒業式などの行事に出席できないことが多かったのですが、友達が多くてそれなりに楽しい高校生活を送っていましたよ。

人からの影響とは少し違いますが、大学にはちょっと行ってみたかったなと思います。高校を卒業してすぐに企業のサッカーチームに入ったので、ちょっとキャンパスライフを送ってみたかったなって。結構社会人になってから行く人も多いですよね。今は時間がありませんが、時間は作るものなので、またちょっと考えます。一生学びたいと思っているから、それも面白そうですよね。」

Q.ポリシーはありますか?

基本的に、なるようになると思っています。例えばサッカーで言うと怪我をしてしまうと、それこそもうどうしようもないので、なるようになるだろうという気持ちでやってきました。ずっとそういうマインドなので、あまり落ち込むようなことはなかったです。スポーツ選手にとって怪我は致命的ですから人によるとは思いますが、私はそういう時でもなるようになると思っていましたね。

特に先行きに希望があった、光が見えていたという訳でもないのですが、5年後に同じように痛いことはないだろう、流石に痛みは取れているだろうくらいの感覚で(笑)、確かに何度も膝の手術をしていますし、1年間ほど離脱することもあったのですが、2年後は出来ているんじゃないかとか。怪我でオリンピックの出場を逃した時でさえも、人生長いしそれが全てじゃないという風に、気持ちを逃している訳ではなくて、ほんまにそう思っていました。

だから、同じような怪我をする年下の子から相談を受けることもめっちゃ多かったですね。初めての大きな怪我だとみんな怖かったりしますんで、絶望もしますし、でもなるようになるやろっていうアドバイスしかしていませんでした、自分がそうでしたから。何の参考にもなりませんよね(笑)、そういうことが聞きたいんじゃなくて具体的に、と思われていたかもしれませんね(笑)

でも私も歳を重ねるにつれてそういうふうな考えになっていったんです。もちろん若い時には焦りもあるし、同年代と切磋琢磨していた時期もありましたが、30代くらいになってくるともう全く無ですね、悟り、悟りです。」

Q.今後の展望についてお聞かせください

「具体的な展望はないのですが、サッカー選手はセカンドキャリアへ進むのが怖かったりする人が多いんですよ。やることがなくて不安だから、とりあえずサッカーを続けていくという選手も勿論いて、チームから契約してもらえること自体はありがたい事だと思うのですが、私はセカンドキャリアも充実させて”あの人楽しそうやな”って思われたいかな(笑)

サッカーを辞めた後、指導者になったり、サッカー教室やイベント等で人前に出ている選手がいる一方で一般企業に入って全くサッカーとは関係のない仕事をする選手もいて何をしたいかは人それぞれなんですけど私は何か面白いことを追い続けたいです(笑)具体的な構想は何もないんですけどね(笑)

楽しいで”って胸を張って言いたい。もちろんサッカーは素晴らしいし、費やしてきた時間もかけがえのないものですが、こっちも悪くないでということを伝えたい、それって私が心の底から楽しんでいないと無理ですから、それを表現していきたいです。こういう、楽しく、という話をすると、家業があることや落ち込まない性質からでしょうか、夢穂さんだからそういう風にできるんですよって結構言われるのですが、これまで一切手を抜かなかったということもあると思うんです。

怪我をした時のリハビリも一切手を抜かなかったですし、そういう姿を周囲に見せることはできていたかなと思っています。腐ってしまう選手って投げやりになってしまって、手を抜き始めてやらなくなる。そういう人を何人も見てきましたが、自分は絶対にそれをしなかったから、それが伝わっていると願っているんですけど、この性格ですから、どうでしょうか。

運送事業については新しいことをはじめたいなと思っているものの、自分が思いつくことって誰かがもうやっていて、サッカーではすぐにポンポン閃いていたのに、経営って難しいなと感じています。運送だから運ぶ、というような枠には捕らわれないで、ジャンルを問わず会社としてできること、でも明らかに畑違いのことは難しいように思いますので、車を使ってやれることかな、まだ全然アイディアの段階ですね。

今は全然違う世界に来たんだなって最近よく思うんですよ、もうサッカーの肩書は通用しないし。でも何人かご挨拶をさせていただいた中で、やっぱりいらっしゃるんですよ、めっちゃサッカー好きな人って。そういう人にはすぐ私が誰なのかバレるので、アドバンテージだと考えても良いのかなと思う一方、逆に下手なことはできない、ちゃんとしなきゃという意識も働きますね。できるだけプラスに捉えて営業アイテムとして使っていきたいなと思っています。タンクローリーの運転に興味のある方はぜひご連絡ください!

特に経験者は大歓迎です!笑」

融星運輸株式会社 代表取締役:阪口 夢穂

1987年、大阪府出身。2011年FIFA女子ワールドカップドイツ大会優勝メンバー。国際Aマッチ124試合出場、29得点。2012年ロンドンオリンピック銀メダル。日テレ・ベレーザ時代になでしこリーグ3連覇に貢献し、2017年には史上初となる3年連続での最優秀選手賞に選出。ベストイレブン7回。2023年、プロサッカー選手の肩書を返上。2022年に行政書士試験に合格、2023年に宅地建物取引士試験に合格。新たなステージでの活躍が期待される。2023年、元なでしこジャパン田中明日菜のYouTubeチャンネルに出演。