- 事務所名:
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加賀建設 株式会社
- 代表者:
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代表取締役 会長 鶴山 庄市
代表取締役 社長 鶴山 雄一 - 事務所エリア:
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石川県
- 開業年:
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昭和18年 06月26日 加賀造船 株式会社として創立
昭和31年 11月16日 加賀建設 株式会社へ社名変更 - 従業員数:
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120名(男性54名、女性66名)※2024年1月現在
目次
Q.現在の事業内容を教えてください
「当社は創業80年目の総合建設会社ですが、健康経営やウェルビーイング経営に力を入れています。昨年は石川県ワークライフバランス企業の優良企業賞を受賞しまして、今年は健康経営優良法人の中でも優れた企業のみが選ばれるブライト500に認定されました。こうしたことから、従業員の女性比率も増えています。また、新社屋はフルZEB認証を受けた日本海側で最大の木造建築物で、カーボンニュートラルにも取り組んでいます。
メイン事業の総合建設サービスの中では、自社船団を保有して日本海側の海岸や港湾施設を守る、石川県でもトップクラスの港湾・海上工事を特徴としています。また、最近は日本全国でゲリラ豪雨による河川の氾濫などが問題になっていますが、これを事前に防ぐために組み立て台船という鉄の塊を組み立てながら川底を掘る河川浚渫作業が得意です。多くの方の目に触れるものとしては、北陸新幹線金沢駅のホーム桁工事も当社によるものです。
さらに、高等教育機関の先生方と協力して、水中ドローンを使った新しい事業も展開しています。これにはスタートアップ企業である株式会社FullDepthの産業用水中ドローンを使用しているのですが、建設工事での活用について提携しているような形です。
建築部については、県外の建築家を中心にご協力を得ながら、地域のランドマークになるものを作っていく、といった事業もやっています。私が今住んでいる地域は、石川県の中心部から20分ほど離れた金石(かないわ)という小さな港町なのですが、この10年間で段々と子どもたちの数が減少しているのが見て取れる状況です。
次世代が減っていくことによって、それまで守ってきた地域の文化や伝統が失われてしまうのではないか、そうしたものが繋がっていかなければ、人として成長していく中で凄く大事な、地域に愛着や誇りを持つということが難しくなってしまうのではないかと危機感を感じていますね。こうした人間形成という観点からも、地域に魅力を感じてもらえるような地域活性化事業に取り組んでいるのですが、これはJC(青年会議所)に入会した2012年頃が起点で、カフェ運営からはじまり、色々な商業施設を作りました。特に、飲食事業で展開している『お味噌汁食堂そらみそ』が若い世代に非常に好評で、日本料理店『空潮/空汐』への発展に繋がっています。
新しい事業が2つありまして、1つは石川県で親しまれてきた棒ほうじ茶『Bowcha(ぼうちゃ)』のプロジェクトです。日本全体としては緑茶が中心かもしれませんが、金沢では茎の部分を焙煎したお茶がよく飲まれています。非常に飲みやすく、香りも甘みもあるのが特徴です。実は、私の実家は130年くらい、祖母の代から私の妻も含めてお茶屋を営んでいまして、400年ほど続いている親戚のお茶屋さんから仕入れたお茶を地域で販売しています。
そうした、家へ帰ると必ず美味しいお茶があるという環境で育ったせいか、JCで海外へ行く機会がある度に、どこへ行っても日本茶が美味しくないと感じていたことも、この事業の着想につながりました。世界的な健康ブームであり、日本製品や日本茶に対する信用がある中で、自分たちの飲んできた棒茶が各国で受け入れてもらえるのではないかと考えました。特に、欧米のマーケットを中心に色々と調べたところ、金沢も含めてどこからも海外進出の気配がなかったので、2020年の3月からはじめました。
欧米の方が受け入れやすいような特徴的なパッケージや、世界でも最も厳しい食品安全衛生基準であるFSSC22000の取得も含め、現地の方が好むものはどういったものかを考えながら作っています。世界ではオーガニック商品が好まれる傾向があることから、有機JAS認証も取得しましたし、持続可能性の強化につながる手法で生産されたものに与えられる、レインフォレスト・ アライアンス認証も取得しました。ジェトロの協力も得て、少しずつですがアメリカやドイツ、ベルギー、台湾など、世界各国に事業が広がりつつある状況です。
事業の開始時期はコロナ禍の最中であり、渡航できずにオンラインが中心の環境だったため、商談が大変でした。しかし、こうした特徴的なお茶を取り扱っているのは多分日本で当社しかないと思いますので、現地ニーズを踏まえた戦略を実行していき、他社との違いを作っていけるような製品づくりを続けていっています。
もう1つの事業は『学びの事業』です。私にも子どもが3人おりますので、次世代に対する学びには非常に関心を寄せていて、金沢の古い町家を購入、改修した”まちの居場所”を作って2023年の7月に『金石町家(仮)』としてオープンしました。定期的にイベントやワークショップを開催しており、リビング空間や貸しスペース、作家さんなどが利用するアトリエスペース、図書スペース、コワーキングスペースがあり、子どもたちが毎日勉強をしに来てくれていますよ。他にも、色々な学べる仕掛けや、プログラムを実施しています。
私たちの願いとしては、子どもたちに偏差値教育だけではない、基礎教育以外の生きていく力を、自信をつけさせてあげられるような学びの場所を作ろうということで、金石町家の事業に着手しました。専門性を持った方の情報・知識を大人と子どもが交換するという意味で「交換」をテーマに、地域の小中学生へは無償でプログラムを提供し、大人たちは施設を使う代わりに子どもたちへ自分の知識を提供してもらうという形で運営しています。お陰様でオープンから日が浅いながらも活発なやり取りが増えていて、市中心部や市外、県外からも大学生が来てくれ、とても良い雰囲気です。この取り組みは、子どもたちの教育に事情や課題を抱えている日本の各地域へ提案していきたいですね。
これからは「ひとづくり」「まちづくり」を行い、つなぐということが大事だと思っておりまして、ウェルビーイングなまちをどう創造するかということや、スパイラルアップの仕組みを考えています。会社としては、関わる人のウェルビーイングの実現に向けて、人への共感から課題解決という事業の方向性、そして会社として違いを生んでいく、こうしたことに力を入れている状況です。」
Q.創業のきっかけは、どのようなものだったのですか?
「加賀建設の社長は、私で4代目になります。もともとは加賀造船株式会社という、地域の漁業者のための木造船を作る会社でした。しかし、素材がFRPなどに変わり需要が減っていったことで、木造船を作る技術を応用し、陸に上がって建築業をはじめました。そのうち高度経済成長期で社会インフラの整備需要が急増したので、土木事業にも入っていくのですが、当時は多くの借金を抱えて、いつ潰れてもおかしくないような状況だったそうです。
そんな時に私の祖父が社長を継ぐことになるのですが、銀行出身で会社に出入りしていたところ、借金ごと経営を背負い込む形で非常に大変だったと聞いています。親戚にも頼るなど日々をやり繰りしている中、昭和38年に金沢で記録的な大雪が降り、陸上交通が麻痺したそうです。このような状況から、海上運搬の機運が金沢市で高まり、金沢港開発の計画が進められるなか、祖父は港湾事業に携わることができないか大きな挑戦を行い、現在の会社の礎をつくってくれました。
こうした形で、年代を経ながら事業を多角的に増やしていき、私の代で地域活性化事業を展開している状況です。」
Q.御社の成功要因を分析すると、どうなりますか?
「成功要因というのか、人を大事にすることと、いかにトップメッセージを伝えるのかということを重視しています。価値観としては、挑戦を大事にしていますね。しかし、組織として何か軸を作るというよりも、それぞれがその人らしい個性で”幸せってなんだろう”と考える、その挑戦の中で組織についても考えることが、結果的に世のため人のために考えることへ通じると思っておりまして、幸せを願う挑戦という価値観を、会社に持たせているといった感じでしょうか。
もう1つの価値観として、人への共感から課題を解決するということも、社内でトップメッセージとして伝えています。会社が成長するにあたっては課題解決を進める必要がありますが、組織内がまとまるためには、まず人としてのエンゲージメントや共感からはじまっていくと思います。また、ウェルビーイングという考えも大事にしていることです。仕事の意欲とエンゲージを高めるために、私たちはみんな働く人の幸せを目指す、どうすれば今みんなが幸せを感じられるかということを考え続けるということに、色々な施策や会社の方向性を持っていくようにしています。
一方、人生100年時代と言われる中で、やはり健康であり続けるということを中心に、会社としても環境を整えようと健康経営にも取り組んでいます。社内でサプリメントやドリンクの提供をしたり、健康アプリを活用してコントロールしてあげたりしているのですが、食生活が改善するなど満足してもらえているようで、従業員の意識も変わってきていますね。
建設業はどうしても2024年問題への対応が必要であり、担い手不足が非常に深刻です。見た目のイメージや、屋外での仕事が中心の労働環境ということもあり、若い世代を中心として働いていくのが難しいと感じている方が多い一方、現職の3分の1が来年65歳を迎えてしまうという状況にあります。343万人中109万人が離職すると予想されていて、これは当社のような現場を管理する会社ではなく、実際に働く人がこれだけ減っていくだろうという見込みです。
そうした中でも当社は平均年齢が30代前半と若く、小さなお子さんがいらっしゃる方が多いということもあって、仕事と家庭の両立ができるようにしています。例えばテレワークの拡充や、3段階に分けての時差出勤などを活用してもらい、緩やかな形から段々と慣れていくような制度設計を採用時に徹底して提案しています。更に、有給休暇以外にも子どものための特別休暇を設けるといった取り組みのおかげで、社内アンケートでは生産性の向上を大きく感じているという結果が出ました。こうして個々人が生産性の高まりを実感しているということが、当社の取り組みの特徴なんじゃないかなと思います。」
Q.同業他社との差別化はどのように考えていますか?
「もともと事業戦略の方向性として、違いこそが価値であると考えています。中小零細企業が、その地域でどう在るかということですが、やはり大手や海外企業の存在は非常に大きなものですから、それらに対して差別化を図るというよりも、違いを作っていくということが私たちにとっての価値観であり、違いを作ることにこだわりながら企業を導いているという感じですね。外向きと内向き、それぞれに差別化のポイントがあります。
外向きには、大きく言ってしまいますが当社が積み重ねてきた海上工事や港湾技術が違いですね。また、これだけ人手不足が叫ばれている中で、若い世代も含めて実際に現場で働いてくれる直営部隊を抱えているのが当社の特徴でもあります。同業他社が60歳〜70歳ばかりでいつ事業を畳んでもおかしくないという状況にある一方、次世代がいる当社ではICTの新しい整備装置を搭載した大型作業船を使っていますので、人も機械も他社とは明らかな違いが生まれています。
更に、建設業でありながら他社がやらない事業戦略を採った、要は多角的な戦略を立てていることが全然違うのかなと思います。先にお話した様々な事業や、地域から世界へという海外展開もしかり、私は基本的に差別化や違いを作るためのことしか考えていません。
内的な面ですと、育成面に力を入れているので、マニュアル化や3年間の育成計画、人を評価して育てるといった部分が他社との違いだと思っています。建設業はやることが膨大ですし、”見て覚えろ”がスタンダードな業界でOJTくらいしかできないという会社も多く、ちゃんと育成環境が整っているのは珍しい訳です。制度面にしても、当社は本当に違いにばかり拘ってきたと言っても良いくらいですね。」
Q.採用、教育など組織論のポリシーはありますか?
「今回のインタビューもそうですが、採用面に力を入れるという意味からも、メディアには極力出るようにしています。文字になっていくことによって会社の持つ価値観などが世の中に伝わっていきますし、認知にもつながると考えているからで、地方誌からの取材やセミナーのご依頼もお受けするようにしていますね。
また、特に建設業においては育成に大きな課題を抱えていると感じておりまして、どうしても一人前になるのに10年くらいの時間がかかってしまうため、そこを私たちは3年で人が育つような環境を作るための育成計画にも力を入れて取り組んでいるところです。
評価についても、誰かと比べるような評価ではなくて、昨日の自分、あるいは3か月前の自分と比べてどうであったかというような評価ができるように、『あしたのチーム』さんの評価システムを使って4か月に1回は面談を実施するなどしています。
また、費用対効果は薄いのかもしれませんが、当社は忘年会・研修旅行・暑気払いなど年間4回は交流の場を設けている、全体飲み会やレクリエーションがある会社です。こうしたことを無駄だと考える方もいらっしゃるでしょうけれども、大きくなればなるほど社員が見える形でしっかりと連携できる、つながりが出来る組織であることが大事だと思っています。
組織運営の課題としては、石川県内に本社以外の現場事務所や各事業の店舗が点在していますので、そうした各所まで価値観を浸透させるためには工夫が必要な点ですね。Microsoft Teamsで週1回の定期的なメッセージの周知、年間3回の合同会議やSDGsの推進会議、生産性向上会議という場面を使って、私や各部署の責任者がプレゼンなどを実施することにより、みんなへ伝えていくアクションを絶やさないようにしています。
入社してくる20代の傾向としては、いい子が多いなと感じていて、いい子は”分からない”と言えない、自信がないという特徴があるように思います。そうした子への処方箋としては、1年目から段階を踏んでこの通りにやれば、自分たちにもやれるという安心できるものがあることが凄く大事だと考えています。見る・見ないは別にしてマニュアルを用意する、マニュアルが存在するということが大事ですね。そこから頑張る子は自分で頑張る、そんなところかなと思っています。
トップメッセージも大事ですが、今はそれを伝播してくれる中間層の育成を強化していまして、月1回の管理職研修とリーダー研修を分けて実施しています。どうしてもトップメッセージは”やれ”という形で伝わってしまいがちですから、社長の言うことはこういうことだよって翻訳してくれる人物を増やしているところです。また、みんなが読むことで考えがわかるように、トップメッセージは結構細かく書いていまして、要は必要性を感じることで自主性を発揮してもらいたいと考えています。
必要性も大事ですが、もっとこうなれば良くなるということを具体的に見せるという意味では、やはり報酬面でも違いを作るような設計にすることですよね。報酬の違いがはっきり見えていると、ありたい姿が見えてくると思いますので、そこは結構大きいのではないでしょうか。日本の社会はどちらかといえば、頑張ってやれという雰囲気が強く、残業代も出ないような会社も珍しくありませんでしたが、もう今はそうではない、口だけでやれということではなくて、ちゃんと対価を払うということですね。
ただ、それでもやらない人はやらないということにはなりますから、50名、100名と従業員が増えていく段階ごとに、会社の意欲的で挑戦する雰囲気についていけないという人も出てきました。その中でも会社に残ってくれた人には、出来るだけ丁寧に私の考え方などを伝えたいと思っています。また採用時にも、面接の最後に今後の事業展開や社長のビジョンについて話すことで、価値観の合う人が入社してくれるので、言わなくてもみんな頑張ってくれているということもあるでしょうね。」
Q.過去、もっとも経営が厳しかったとき、どのようなことがありましたか?どう乗り越えましたか?
「私は2008年に入社したのですが、前職はゼネコンで施工管理をしていました。最初は営業職へ行くつもりだったのですが、現場を知らない者が営業はできないだろうと父からアドバイスをもらい、施工管理を行う技術者として働きはじめました。しかし、2007年に全国的な建設不況など事情が重なり、父へも相談して私は翌年に加賀建設に入社することになったという形です。
当時の建設業界は全体として、工事の落札は安ければ取れるといったような形だったのですが、ちょうど私が前職を辞めるあたりから入札制度が総合評価方式に変わりました。お金だけではなく、各企業の技術力などが総合的に評価され、各現場で設定された課題に対する取り組みについて2〜3枚の提案書を書かなければいけなくなりました。これらの評価点数とお金によって落札者が決まっていく仕組みなのですが、その頃の当社は提案書の作成で苦戦しており、どんどん受注が減っている状況で、とても雰囲気が悪かったのを覚えています。
今にして思えば甘かったのですが、社員の方々は私の入社を喜んでくれるだろう、この状況が変わると期待してくれるだろうと考えていたのに、数か月で4〜5名が離職してしまいまして、これは本当に凄くショックでした。また、それまで無借金経営だったものが、私が入社した2008年に初めて7,400万円ほど赤字を出していまして、それは人もいなくなりますよね。
これは本気で勉強しなければ会社がつぶれると思いまして、一番居心地の良かった応接室で寝泊まりしながら提案書の勉強をして作成しているうちに、翌年に過去最高の売上と最高益となりました。この時が一番厳しかったですし、自分にとって辛い経験でもありましたが、死にものぐるいでやったからこそ、意外と今があるのかもしれないとも思いますね。」
Q.影響を受けた人は誰ですか?
「大きく2つの属性から影響を受けたと思っていて、家族とJCで出会った人々じゃないですかね。特に祖父と父の存在は大きくて、家でもずっと地域が、地域のためにと言っていたこともあり、私も今こうして地域のためにと事業を展開している訳ですから、そういう風なアイデンティティを作って影響を与えてくれたのは、家族だと思っています。
また、JCで出会った方々は、特定の誰かというよりは、それぞれから凄く影響を受けていますね。人としての厚みがある方々ばかりで、特に国際青年会議所での触れ合いが印象的です。」
Q.これから生き残っていける企業の条件はどのようなものだと考えますか?
「私は本当に”人”が大事だと思っていますから、やはりウェルビーイング経営ですかね。正直、自分の出来る範囲の中だけで企業を経営となれば出来ると思います。ただ、自分の使命としては、より多くの人を幸せにすることであり、次世代のために社会を作っていくことだと感じています。そうすると企業と社会の接点を増やさないといけませんから、事業の成長が1つの手段になってきます。
その成長していくという中で、やはり人を大事にする、人に対してどう考えるかということに誠実な企業さんでなければ、まず生き残っていけないのではないか、ということは当たり前に考えますね。近年はDXやAIによる効率化が叫ばれて久しいですし、作業員がいなくなるという議論もありますが、建設業の場合ですと、それほどの費用対効果は期待できないのが正直なところです。もちろん5人を4人に省人化するといったことは出来て、例えば当社のICTセンターやコマツの建機など、実際に作業の効率が上がりスピードも早くなるのですが、ゼロには出来ない現実もあります。
ホワイトカラーの知的労働であれば、AIに置き換えた方が安い場合もあると思いますが、建設作業員のような労働にも関わらず不規則な現場条件ですと、設定が複雑で学習することが難しいですし、あまりAIに置き換える意味がないと言えます。そう考えると、デスクワークを中心とした仕事の中で導入するという限定的なものになるのではないでしょうか。
ただ、当社は新しいもの自体はどんどん使っていて、施工管理システムを協力会社と共有していたり、本社と現場事務所に遠隔のカメラを置いてAIを活用するといったことはしています。少数でより大きな成果を出すことにはこだわっているので、そういう意味でも同業他社よりは明らかに進んでいるでしょうね。」
Q.今後の展望についてお聞かせください
「教育や地域活性など、新しい市場で展開している事業については継続してしっかり守っていきます。一方で、建設業に関しては課題が深刻度を増していますから、やはりその分ビジネスチャンスを感じていて、自社にとってのコアビジネスを更に発展する機会ではないかと思っています。そういう意味では、水中ドローンしかり、人材育成しかり、それに建設業の他の専門業種も取り入れるなど、今後は建設を主体とした新しい事業展開を考えていきたいと思っていますね。
正直なところ、建設業は首都圏への進出に挑戦したい意欲もあるのですが、他社さんからは離職が多いと聞いています。一方、ローカルで仕事がないかと言えばありますから、当社としては石川県だけでなく、北陸3県へエリアを拡大しているところです。
いつまで仕事をするのか、ということですと、ずっと頭に残っている印象的な一言があります。地元で有名な酒蔵の経営者がテレビで記者会見されている過去の映像だったのですが、”風が読めなくなった”と仰っていました。解らなくもないというか、きっと人にはそういう時が来るのだろうなと、ずっと生涯現役ですとは言えないなと思いました。
今こうして振り返ると、ちゃんと話が出来ることもあるのですが、じゃあ10年間どうであったのかというと、バタバタしているし失敗もありましたから、反省と悩みの連続でしたよね。でもそれがあるからこそ、事業が成長していったのかなと思います。自分は悪くない、自分のせいじゃない、社員が悪いとやっていれば、ずっと停滞した状態だったかもしれませんので、結局こうして気を回しながらやってきたことが全て糧になっているのでしょうね。」
加賀建設 株式会社 鶴山 雄一
大手建設会社で建設技術者として施工管理の経験を積み、港湾工事を得意とする加賀建設株式会社に入社。総合建設業をコアビジネスとして、地域活性を目的に飲食店、小売店はじめとする多角化経営に取り組む一方、SDGs推進室の立ち上げを2017年より行い、事業戦略と結びつけ、地域全体を巻き込みながら進めている。
2020年より同社代表取締役社長を務め、石川県港湾漁港建設協会・会長、ウェルビーイング経営ラボ金沢・代表も担っている。

